2013年08月02日

なかなか手のうちが見えない


『洛陽(らくよう)の紙価を高める』という表現がある。
「ベストセラーの本となる」 ことを意味する言葉だが、
なぜ、そう表現するのかを簡単に紹介すると、
その語源となったのは、
中国、魏蜀呉が擡頭していた三国時代ごろのこと。
西暦にすると三、四世紀頃となる。

その当時の文人に左思(さし) という人物がいて、
十年がかりで『三都賦』という本を書き上げたところ、
評判を呼び、(まだ、印刷がなかった時代なので人々は)
彼の書を書き写すために、紙を争って買おうとしたため
当時の都だった洛陽の紙価が高騰したところから来ている。
『晋書』に、
「洛陽、之(これ)が為に紙、貴(たか)し」と出てくる。
そのために、この言い回しとなった。

考えてみると、この言葉、
紙を買い求める人が増えると、その価格が上がるという、
市場原理そのものを語っているような言葉でもある。
こういった需要と供給のバランスで価格が決定する事を
「神の見えざる手」などと表現したりする。


最近、高級スポーツ自転車が人気だという。
昔ながらの自転車専門のメーカーと
アルファ ロメオ、フェラーリ、ルノー、ハマー、シボレー、ランボルギーニなどの
自動車メーカーの自転車もかなり人気が上昇している。
最近のニュースによると、トヨタ自動車が1台100万円のレクサスの自転車が
売り出されるそうで、その注文が殺到しているという。

「(エンジンのついていない)自転車が、ひっ百万円!?」と思ったりするが、
そこは、価格を決定するのは「神の見えざる手」。
買い手と売り手のバランスで成り立つもの。

神の御心(みこころ) というものは、わからない。  


Posted by Chun at 12:06